【読書-42冊目】「AI監獄ウイグル」|ジョージ・オーウェルと現代のディトピア

今回読んだのは、中国の新疆ウイグル地区で行われていることについてまとめた「AI監獄ウイグル」を読みました。

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みなさんはいわゆる「ウイグル問題」についてご存知ですか?

ニュースや特集番組で新疆ウイグル地区での弾圧や暴動事件について報道される事がありますね。

強制収容所で隔離されてるってのも聞くね。

そうです、それです。

きっかけは9.11と言われるイスラム原理主義による米国同時多発テロです。

中国共産党はこの事件を利用して国家の団結を目的に、イスラム系住民が多い新疆ウイグル地区にテロリストがいることとして宣伝・弾圧し始めました。

ちなみに新疆ウイグル地区での出来事は、米国やカナダからジェノサイド(大量虐殺)認定されています。

ですが、普段のニュースからは新疆ウイグル地区で実際に何が行われているのか公にされておりません。

ウイグル地区から他国へ脱出した方からの「証言」が主な情報源というのが現状です。

えっ、なんで?現地で取材しちゃって世界に公表しちゃえばええやん!

それができないのです。

その理由は中国がウイグル自治区へのメディアによる立ち入りを禁止しており、ガチガチに管理しているからですね。

たまに強行して取材を試み、逮捕されているジャーナリストもおり、現地での取材は困難というかほぼ不可能です。

取材が許可されたとしても中国政府があらかじめ指定したコースのみとなっています。

推測になるけど「隠す」ってことはやっぱり悪いことしてそうやね。

でも隠されるほど怪しいですよね。

僕は上記のような現状を知り、可能な限り脱出したウイグル人の方の証言を元に現地での実情をまとめた書籍がないかなと探していたところ本書に出会い手に取りました。

この記事がオススメな方
  • ウイグルで何が行われているのか興味がある方
  • テクノロジーによる独裁体制の構築に興味がある方

概要と著者

著者は「ジェフェリー・ケイン」というアメリカ人の調査報道ジャーナリストで2008年から中東やアジアで活動しています。

彼は2017年8月〜2020年9月まで168人のウイグル人にインタビュー取材を実施し、徹底した事実確認及び情報提供者の安全を配慮した上で記述しています。

主要なインタビューについては、相手が世界のどこにいる場合でも4回から25回にわたって話を聞いた。
各々への取材時間は8時間から60時間におよび、何度も同じ質問に立ち返り、矛盾や省略がないかを注意深くたしかめた。

その他にも本人の証言が正しいのかメディア情報やその友人などにもアプローチして証言の裏を取った上で本書を記載されているのです。

168人って、、、、徹底してますね。

このように取材をするのも対象者の過去の経験やトラウマを抱えた状態で証言をする場合、誇張したり事実を少し捻じ曲げることが少なくないためです。

ITの発達で社会が豊かになるのは事実ですが、それは使い方によってはディストピア(暗黒世界)にもなりうる。

ディトピアってめちゃくちゃ暗そう。。。

ディストピアはユートピアの対義語なので、イメージの通りです。

そして、このディスピア構築の片棒を担ぐことになってしまったのが、米国のテック企業ということも注目すべき内容です。

今でこそ明確な米中対立ですが、当時の両国は協調路線をとっており監視システムに組み込んでいる顔認証音声認証技術は米国企業によってもたらされました。

そんなディストピアが米国含めてどのような過程で構築されてしまったのか、本書では生々しく描かれています。

心して読んだ方が良いかと。

印象に残ったこと

完璧なる警察国家の構築

政府は政権を安定させるための完璧な警察国家を新疆ウイグル地区に構築すべく3つのステップを踏みました。

警察国家への3ステップ
  • 第1段階:敵を見つける。
  • 第2段階:敵を監視する技術を管理する。
  • 第3段階:事実を無視して感情に訴える被害妄想を利用する。
特に第3段階を適用すると社会は崩壊します。

事実や真実から遮断され、常に監視下に置かれると、多くの人は敵と味方を区別することができなくなり、政府に対抗するための必要な情報も得られなくなる。

友人が友人を裏切り、上司が部下を密告し、教師が生徒の秘密を暴露し、子供が親を攻撃する。

すると誰もが政府に庇護を求めるようになる。

怖すぎでしょ!

でもこれが現実社会として構築されているのが新疆ウイグル地区です。

残酷すぎます。

このシステム構築に携わったウイグル人の証言が本書で紹介されていますので、ぜひ本書をお読みになってください。

現代のジョージ・オーウェル「1984」

ジョージ・オーウェルは見抜いていた。彼はわたしたちの世界、ウイグル人の世界の未来を射抜いていた。
単語言語のについての戦略も見事です。

まさかジョージ・オーウェルの「1984」で描かれるディストピアが本当に存在することになるとは。。。

もはや本書を読んだ後に「1984」を読めば、ウイグルにしか思えないぐらい酷似している。

シーマー

ちなみにこの小説は1949年に刊行されたものだ。

1949年って第二次世界大戦終わったばかりです。

というか漫画でkindleで読み放題でもありすぐに読めますので、もうすぐに読んでください。

私のアフィリエイトリンクなんてどうでもいいです。すぐに読んでください。

https://www.amazon.co.jp/1984年-まんがで読破-ジョージ・オーウェル-ebook/dp/B0951LT81K/ref=sr_1_5?adgrpid=53636609736&gclid=Cj0KCQiA54KfBhCKARIsAJzSrdrbi2DznQqhD6NyUbU72yvvRjup2fI9pBmkOrgmF8utNPVY8DRQofsaArO8EALw_wcB&hvadid=611330106643&hvdev=c&hvlocphy=1009343&hvnetw=g&hvqmt=b&hvrand=3486076153245411007&hvtargid=kwd-333088507569&hydadcr=4078_13255669&jp-ad-ap=0&keywords=ジョージ・オーウェル+1984年&qid=1675685491&sr=8-5

そのまま再現したのではというほど酷似しており衝撃です。

本書を読んで皆さんもこの監視社会について考えてくだされば私は満足です。

読書後の変化

私自身は今現在は自由を謳歌していますが、生まれた国が異なるだけでこうも違うのかとなんとも言えない気持ちです。

私自身にできることは、まずこの事実を正面から知るということ。

そして今この瞬間の「自由」に感謝すると同時に守らなければならないことです。

日本経済は今後確実に落ち込む方向に進んでいきますが、この自由な社会は守っていきたい。

曽祖父たちが築き上げてきたこの状況に感謝の気持ちが強くなりました。

まとめ

世界ではウイグルの他にも独裁国家による悲惨な弾圧に苦しみどうしようもない方達がいると思います。

明日は我が身です。

どこまでもいっても他人事にはなってしまうかもしれませんが、このような事実があるということから目を背けずに知るということが大事だと思います。

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